びっくりのニュースが入りました
マンガ背景作成のスクリーントーン「Jトーン」を販売していた(有)ジェイが破産申請へ - livedoorNEWS
これも時代か・・・と思いつつ、今後の漫画作画界について考えていきたいと思います。
作画のデジタル化は避けられない
正直なところ上記サブタイトルの状況になると思います。ありていに言えば、楽ですもの・・。下記にも移行について記事にしていますので、よければ参考にどうぞ。
https://mori-tamotsu.com/analog-to-digital/
というのも、まずは漫画家の道具といえばどういうものを想像するでしょうか。
大まかなところだと
- Gペン
- 黒インク(墨汁など)
- ホワイト(ミスノン)
- スクリーントーン
- (おまけ)ベレー帽
大体このあたりに収束していくと思います。
実際平成前半(10年くらい?)はまだデジタル作画もせいぜいカラーイラストくらいでデジタル漫画はそんなに無かった感じでした。ちょっと時間が経てばソフトもある程度揃ってきてデジタル作画が普及しだしましたが、本格的に描くなら大体下記を揃えないと辛く、まだ垣根が高い感じでした。
- ミドルレンジ以上のPC
- 可能なら64bitOS(今ほど普通ではなかった)
- 最低でもタブレット(数万)
- 本格的にやるなら液タブ(安くて15万くらい)
- 高いモニター(普及タイプの液晶だと色の再現に問題があった)
- ソフト代(Photoshopが買い切りの頃は10万円以上)
ここまでそろえるなら・・・大体50万円ぐらいでしょうか。いくらデジタルは買ってしまえば追加でインクや紙を買い足す必要がない上働いていれば買えないわけではないですが、始めるにはちょっと覚悟のいる出費になるイメージでした。
デジタル化に追い風が吹く
しかし初期投資がネックだったデジタル作画でしたが、最近のPCのラインナップでその壁は取り払われようとしていると思います。それが
2in1のPC(タブレット)の台頭と64bit環境の普及
だと思います。
絶対的な絵描きデバイスとしての性能は製品によりけりですが、タッチパネルも標準化されてきてWindows10で手書き機能の強化にともないペンを使うことについて強化してきたので、ペン付属のPCも増えてきました。そしてメモリ空間も4GB縛りがなくなり8GB以上の普及マシンも増えてきたのでメモリに苦しむことも減りました。
これにより、「とりあえず手元のPCで描き始める」ことの垣根が一気に下がりました。なにしろ今までは「液タブ」といえばワコム製しか無かったのがどのPCも液タブ化できるようになり、別で用意しなくてもよくなったのですから。どうしても不満が出たら初めて買い替えまたは買い足せばよいだけです。
そしてもう1つがサブスクリプションの普及。実際に払っている金額はそれなりになりますが、1ヶ月で払う金額はほどほどで、Photoshopも月数千円で使えたりします。
使わないときは一時停止もできるし、今までソフトに数万~十数万円かけてたのですから一気に壁が下がったと思います。
これに前述した一度買ったら追加でトーンや原稿用紙などの消耗品代を気にしなくてよいというメリットが加わり、漫画もデジタルの時代はよおり進むと思います。
とはいえ
アナログ絵の「アナログっぽさ」は好きなんですよねー・・・。
このままロストテクノロジーになってしまうのは惜しいと思いますが、これも時代なのかもしれません。ただ、絵描きの場合は紙に残すこともやらないわけではなく特にその場で形として残るので、一定の割合で止まるとは思いますが、近い将来に
漫画を描きたいです→ではパソコン買いましょう
になる時代もそう遠くはないのかもしれません。そもそも今時スマートデバイスでも作画できる時代なので、絵描きアプリ入れましょう、で終了になるのかもしれません。
アナログの別の将来
ロストテクノロジーとまではいかなくても、トーンの処理の仕方や背景を実際に描いてみるさいには基本技能として覚えておくとデジタル作画に役に立てそう、と個人的には思います。
自動車で言う、マニュアルトランスミッション車みたいに割合は大幅に減らすけど車両の基本として細く残り続けることを予想および希望したいところです。